哲日記,断酒,読書,黒島

5時45分起床、気温2度。読書、二度寝、8:15再起床。

『与那国沖 死の漂流』伊良皆高吉著 南山舎2023年1月発行。1957年1月、与那国沖12マイル付近で、石垣ー与那国航路の貨客船が沈没。乗員乗客28名が遭難漂流し、台湾の軍艦に12名が救助され、16名が死亡・行方不明となる大惨事である。当時、二十歳の著者が死の恐怖と闘いながら懸命に生き抜こうとする凄絶なドキュメントだ。

黒島に生まれたぼくも、幾度となく黒島ー石垣間の船に乗って、荒天時の船の上下・左右の激しい揺れを体験しているだけに、実感をもって読んだ。海面から船が浮き上がり、直後海面に叩きつけるように落下し、船底も割れんばかりの音と振動はクワバラクワバラの心境になること必至だ。

かつて娘がうまれてまもなく、北海道出身の妻とともに黒島へ。石垣へ戻るとき、荒れた海を前に見送りにきた友人が「この荒れ方は尋常でない」と妻を脅したことがあった。海とは縁遠い心配した妻から大丈夫?見合わせたらと言うも、ぼくは聞く耳持たず、この船逃すと東京へ戻れんぞ、と却下。この優しくない対応が、のちの離婚につながった原因のひとつであったかもしれない。

昨日は、藤井聡太ー羽生善治の王将戦第4局。持ち時間8時間二日制の対局、朝9時、前日の藤井聡太の封じ手が開封される。大方の予想は銀を動かす、ぼくのは王を動かす、結果ぼくの予想が的中した。あの藤井5冠と素人のぼくの予想が当たった。良い気分だ。雪降る中、駅前屋上の露天風呂につかりながらも王将戦の結果が気になる。そして、風呂上がりの休憩室でスマホで確認すると、藤井敗れたり! 夕食は、3日続いた禁酒も破れたり。

哲日記,読書

7時45分起床。外気1度。 途中、2回目覚め読書など。

きょうは朝から雪。警報級の大雪となる予報。 ぼくには母校がふたつある。ひとつは黒島、もうひとつは石垣島。その石垣島の中学校のミニ同窓会が今夕開かる予定。が、雪のため12日へ順延するとSR幹事長よりメールあり。すると、12日は日曜日につきお店が休み、との再連絡。いつもながらオッチョコチョイの可愛いSRさん。でも彼女も古希=70歳なんだ! 長きにわたる世話役、感謝します。

『高橋源一郎の飛ぶ教室』岩波新書、2022年11月発行。NHKラジオ番組・毎週金曜日のオープニングエッセイ2年分をまとめたもの。 高橋はぼくより1歳上の同世代。若い時、政治運動から投獄?され、20代は肉体労働、30歳になって作家を志すも応募作品の多くは落選。選考委員からは、「人生の大事な時間をこんな小説を読んで損した」との酷評もあった。が、そのうちの一つが吉本隆明や瀬戸内寂聴らに高く評価されたことから道が開ける。

同書の印象に残った記述。—二十世紀が生んだもっとも偉大な世界文学といわれる、石牟礼道子さんの『苦海浄土』—

ぼくの本棚にも『苦海浄土』があり確かに良書はその通りだと思うが、「偉大な世界文学」と評価されていることは知らなかった。すごいですね。 

また、高校時代のこと、ヒッチハイクで広島を訪れ原爆ドームの下で野宿していると、やくざの若頭が子分を連れて声をかけてきたそうな。「あんちゃんら、学生さんか。旅は若いうちにせにゃあかん」「ドストエフスキーでいちばんええのは『地下室の手記』じゃろう、いちばん飾っとらんからのう、あの作品は」と、自分は大学院でフランス文学を勉強しておったが、親が倒れたので広島に戻ってきた。組を継いでこれから出入りだが、最後になるじゃろうけぇ若い衆と散歩していたそうだ。翌日の新聞には広島やくざの抗争が大きく報道。高橋とインテリヤクザの一期一会なり。 このように楽しい本を図書館で借りて申し訳ない。

本日は、雪のため欠勤。

哲日記,映画鑑賞,読書

8時起床。外の気温3度。いちど小便のため起きた。まぁ熟睡だ。2日連続禁酒。

昨日は、立川へ出向き買い物、本屋はしご、映画等、充実の午後のひとときとなった。

買い物:駅ビルのユニクロにて。バーゲンのシャツとダウンベスト、2点で4.980円。シャツは袋に入ったままなので充分に確認せず持ち帰って開封すると、なんと半袖シャツ? こんな寒い時期に馬鹿なことよ。 でも、ユニクロは4割給与アップゆえか、スタッフの皆さんの親切な対応に感心した。

本屋はしご:駅ビル書店は、売り場も縮小気味で残念だ。映画館横のデパート内にあるJNK堂は、充実していた。ぼくの使うクレジットカードのポイントも適用されるようになっていた。五木寛之のラジオ語りをまとめたものを購入した。同フロアーの喫茶室でコーヒーとサンドイッチを食し、次の映画鑑賞にそなえた。

映画「SHE SAID/その名を暴け」 ニューヨークタイムスの女性記者2名が、ハリウッドの暴君の長年にわたる性犯罪・セクハラをあばき、#MeToo運動が世界に広まるきっかけとなった感動作。被害者が実名で報道することを記者に伝えるシーンでは、感極まり落涙する古希のぼくであった。 今まではテレビの映画を録画したものがほとんどなので、やっぱり映画は、映画館でみるに限る。

哲日記,読書,黒島

5時起床 6度。暖かい、高橋源一郎を読む。二度寝。8時再起床。

敬愛するTY兄さんの告別式は無事終え、本家として生花をお供えさせていただいたと兄から連絡あり。那覇在住の黒島の同級生YMさんもお通夜に参列され、「年明けのわずかな期間で、すでに5回葬儀に行った」ようだ。沖縄・八重山に暮らす人々にとって、冠婚葬祭の多さは、都会の片隅でひっそり生活しているぼくなんかとくらべ段違いに多いだろう。ご苦労察します。

車谷長吉著『世界一周恐怖航海記』読了。60歳にして初の外国旅行。妻であり詩人の高橋順子、おなじ詩人のお涼さん3人連れの旅。ふたりは40代後半に結婚した初婚どうし、順子さんが「結婚したら家を買ってね」とおねだり、長吉ガンバって都心に一戸建てをゲット。すると「こんどは船で世界一周旅行に連れて行ってね」と。あの頃、作家稼業は儲かったんですね。

2005年12月横浜出港~6年3月帰国の南半球周りの旅は、長吉一流の文章で読ませてくれる。一流の文章とは何ぞや。彼の場合は、自らの恥部を臆面もなくさらすことかな。「チリの軍港に上陸し街並みを順子さんと散歩していて、どうにも便意を我慢できず洋品店の前で糞した」(ホンマカイナ)と思える記述あり。

哲日記,断酒,読書

朝7時起床。外気温マイナス6度。朝食。

午前、理髪店へ。おおむね25分程度でシルバー料金1,700円。現役時代は90分、4,000円の理髪店にお世話になっていたが、現在は料金の安さと時間の短さが気に入っている。

今日は午後から出勤。その前にFS駅前のカレー屋にてポークカレー(591円)を食す。久しぶりの外食はなかなか旨いね。

仕事を終え、帰りは図書館へ立ち寄り、新聞、週刊誌等を拾い読み。きょう発売の週刊文春、新潮も閲覧できる。最古の歴史がある週刊朝日の休刊(実質廃刊)が発表されたので、名残惜しく手にとる。文春・新潮は、いつも誰かが読んでいるが、朝日はその気になればいつでも読める。最盛期100万からひと桁台まで発行部数が激減しているのもむべなるかな、だな。

きょうは仕事をしたので、一杯やるべと行きつけの居酒屋Aをのぞくも休業。定休日外にもかかわらずだ。しかたなく、赤ワイン1本(437円)を買って自宅にて節酒飲み。1本飲み干すなく、半分強残す。

哲日記,読書,黒島

昨夜、石垣島のTC先生より電話。年賀状もらった人へ返信代わりに電話しているとのこと。泡盛を晩酌に1~2合召し上がる酒豪で、平成天皇より1歳年少にかかわらず元気そのものだ。

TC先生「黒島出身のOMさん、ぼくの碁敵だが最近連絡がとれなくなった。どうも施設に入所されて付き合いもしなくなったようだ」とのこと。OMさんは、若いころ日本一周自転車の旅を成し遂げた屈強な先輩だ。東京板橋から東北、北海道、日本海側をへて九州、沖縄から八重山、黒島まで足を延ばしたというから脅く。帰路は九州、四国、東海、東京とあっぱれな旅である。関東でのわがふるさと会へも参加していただいたが、老人ホーム?への入所とは、寄る年波には勝てないのか。

TC先生「キミの同級生のUYさん、最近、彼の講演を2度聴いた。『島を出る』宮良正吉さんのハンセン病に関する本のこと、Y書店主催の経営セミナー?に関する講演、彼は文才のみならず経営手腕もあるんだねー」と。 それに引き換えお前さんは、と説教がはじまるところだがなかった。酔いが足りなかったかもしれない。

1月9日(月)晴

朝4時、目が覚めたので読書。「ふたつの嘘」諸永裕司著 講談社。図書館借り。沖縄復帰前後の密約をテーマに、その後の裁判経過をたどりつつ、ふたりの女性(西山太吉妻・啓子さん。小町谷育子弁護士)の辛抱と魅力と活躍を描く。ふたつの嘘とは、1970年代の過去の嘘と2000年代の現在の嘘をさす。最近も、沖縄核持ち込みの密約が表面化したが、沖縄返還の闇はまだまだ深い。

成人の日。午後から出勤。出かけにガールフレンドから電話があったので、すこし遅刻。

テレビ,断酒,読書

2022年・大晦日 5月の古希を機に断酒を決意するも、10月の組合定期大会後の親睦会において飲酒をそそのかされ、連続155日続いた禁酒は頓挫した。情けない限りだ。この1年の成績は、禁酒245日、飲酒120日。

読書 「西山太吉 最後の告白」集英社新書 西山太吉・佐高信著 さる24日、新宿の紀伊国屋書店で購入。1,045円。沖縄返還にかかわる密約をあばいた、当時の毎日新聞記者・西山太吉と佐高信の対談もの。良い本である。山﨑豊子の「運命の人」も良かったが、この本は、事件の当事者である西山が真相を語るにとどまらず、官僚、検察、裁判所の不当性を突き、いまに至る政治批判、マスコミの限界等、幅広いエピソード満載だ。

NHKスペシャル「未解決事件」松本清張と帝銀事件を観た。銀行員等12名を毒殺した事件、画家平沢貞通が逮捕され、死刑判決となり獄中死した。松本清張は小説で真犯人はほかに居ると推理、NHKは資料をもとに730部隊、GHQの関与を突き止め、憲兵隊Aまで肉薄する。ここでも警察、検察、裁判所の闇が明らかだ。

良いお年をおむかえください。

哲日記,断酒,映画鑑賞,読書

昨夜は飲まなかったせいか、さわやかな目覚めだ。9日連続の飲酒は、やはり飲み過ぎだろう。

午後から出勤。13:30に事務所入りし17:30に退勤となる。

読書 帰りに図書館へ、新聞、週刊誌、月刊誌を読む。月刊・文芸春秋は、これまで3年間定期購読(11,520円/年)してきたが、中止して図書館で読むことにした。2023年1月号(12/10発売)をパラパラとめくる。巻頭随筆の藤原正彦の辛辣な文章は面白い。美人妻をからかう一文が、珍しく今号は見当たらなかったので残念。清武英利「記者は天国に行けない」は、好きな連載だ。読売出身のノンフィクション作家で、かつてナベツネとも喧嘩したことのある硬骨漢である。

映画 「招かざる客」1967年、米国、NHKBS録画を観る。映画撮影時は、まだ異人種間結婚が違法とされていた時代。有能な医師である黒人男性と、新聞社オーナーのリベラルな家庭で育った白人女性との結婚をめぐっての葛藤ドラマ。女性の母親役キャサリン・ヘップパーンがアカデミー主演女優賞を受賞。

ぼくの母方の叔母も黒人のアメリカ人と結婚したが、違法とされた時代と重なる。アジア人との結婚は合法だったのか。小さいころ母親を亡くしたぼくを、とても可愛がってもらった記憶がよみがえる。ハワイで暮らしているらしく、ほとんど没交渉で申し訳なく思う。一家の幸せを祈ります。

哲日記,映画鑑賞,読書

読書 「朝日新聞政治部」鮫島浩著 図書館から借りて読了。新聞記者らしく文章が読みやすくて良かった。意欲ある記者が、会社上層部の無理解、無能、ジャーナリスト魂の欠落によって排除されていく不合理さを実感させられた。朝日新聞の発行部数の激減ぶりも衝撃であった。1994年に822万部あったものが、2021年には466万部だ。若い頃、深代惇郎の天声人語を愛読していた身には、朝日の凋落ぶりは嘆かわしい。また、読売出身の本田靖春の名著「警察回り」に感動した身には、現在の新聞記者のおかれた状況に落胆せざるを得ない。

映画鑑賞 「オールウェイズ」1989年、米国、スピルバーグ監督、オードリーヘプパーンが最後に出演した映画。NHKBS録画。山火事を消火する飛行機乗りの物語。ストーリーはいまひとつだが、さすがスピルバーク、迫力ある映像はなかなかであった。

ゴルフ 国会議員を囲む望年ゴルフコンペが、コロナ禍もあって3年ぶりに開催され参加。27名参加中、10位の成績であった。景品もよかった(12月18日埼玉県内ゴルフクラブ)。

哲日記,読書

佐藤愛子著『血脈』を読了。文春文庫、上中下の三巻、1巻あたり600~700頁の大河小説。小説家・佐藤紅緑を父、女優・三笠万里子を母にもち、詩人・サトウーハチローを兄に、その他の兄姉、甥っ子、自分の夫はじめ配偶者たちの物語。内容は、「ここまで書くか」と、ビックリするほどの登場人物の乱暴狼藉を悪口の限りを尽くして描写。例えば、異母兄のひとりが、出張先の旅館からニセ電報をうって金を無心、お金を届けた使いの者が見たのは芸者と遊びほうけている姿。

夫の借金地獄を肩代わりして苦労する愛子。離婚後も夫は、留守中に納税用の預金通帳から全額引き出し、愛子は税金を納めるのに四苦八苦する。そして、愛子は『それでもこの世は悪くなかった』文春新書、と上梓。

血脈の上下2巻は、古本屋で購入、中と「それでもこの世は・・・」は図書館で借りた。その「中」があまりにもくたびれていたので、書店で新刊「中」を買って、返却とあわせて図書館へ寄付した。面白い本とめぐりあえた感謝の気持ちなり。