かつて所属した組合機関紙への寄稿エッセイ
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新聞のコラムを読む。日経新聞の「私の履歴書」もその一つだ。先月の同欄で、理化学研究所理事長が若い教授時代を記したものがあった。それは、結婚して1年後、双子の赤ちゃんを授かったが、一人が重い障害をもってうまれた。教授は、心労から胃の調子がおかしくなり、胃カメラ飲んだところ「これガンですね。余命三ヶ月」と医師に宣告された。頭が真っ白になりこの時「まずい」と思ったのが生命保険に入っていないことだった。これから残された母、妻、二人のこどもはどうなるのだろうか、というもの。
ぼくは、この箇所を読んだ時、組合のたすけあい共済のことを、思い浮かべた。わが組合では、この半年間で4名の組合員が病気で亡くなっている。残念ながらどなたも組合共済に加入していなかった。告別式に参列しながら「なぜ強く加入を勧めなかったのか」と後悔することしきりである。
ある日、女性組合員が共済加入手続きに組合へこられた。当方、深々と感謝の意を伝えると、「お礼言われるはおかしい。だって、お互いたすけあいの精神でやっていることでしょ。組合員なら当然入るべきだわ」とおっしゃった。労働組合の真髄はたすけあいの心、を彼女から教えてもらった思いがした。(2015.7.28)